半導体チップ市場および半導体製造装置市場は、2020年の前半に好調な業績を上げましたが、エレクトロニクス最終製品市場の多くは世界的に不調でした。2020年第2四半期の世界の電子機器販売額は、前年同期比で10%近く減少しました(Chart 1)。
年央の市場需要は上向き
しかし、景気情勢は世界的に改善に向かっています。広範な製造業の活動を示す指標である世界購買担当者指数は、8月に51.8まで上昇し、2017年11月以来の高水準を記録しました(Chart 2)。
COVID-19パンデミックとそれに伴う工場停止で大きな打撃を受けた自動車産業も、回復しつつあります。米国では、8月に自動車生産が大幅に回復し、自動車とトラックの生産台数は過去最高を記録しました(図表3)。確かに製造業はパンデミックの急落からの立ち直ろうと躍起になっていましたが、工場の生産も再開されました。
秋はいそがしくなる
コンピュータ産業も、回復をしています(Chart 4)。在宅勤務、在宅学習によるデスクトップ、ノートパソコン、メディアタブレットの需要増のおかげの他、サーバーの出荷額も第2四半期に好調となりました。
世界の電子機器業界は、ホリデーシーズン前の消費者向け商品の在庫積み増しにより、予想されていた秋の繁忙期を迎えています。2020年8月の世界の電子機器出荷額は、前年同月比で5.5%増加しており(図表5)、11月か12月にピークを迎える可能性が高いでしょう。
困難から脱却したわけではありませんが、状況は明るくなってきています。
半導体産業の成長は継続
半導体製造装置市場は昨年縮小しましたが、2020年第2四半期の出荷額は、前年同期比で26%上昇しています(Chart 6)。
半導体チップ産業の活動は好調を維持しています。台湾のウェーハファブは8月に過去最高の売上高を記録し(Chart 7)、半導体サプライチェーン全体も拡大を続けています(Chart 8)。
今後の動き
世界的な政治・貿易問題は、高い失業率、進行中のパンデミックや気候変動の懸念が相まって、今後数ヶ月の見通しを曇らせています。見通しはよさそうなのですが、はっきりとしないのです。
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Custer Consulting GroupのWalt Custer氏は、エレクトロニクスの世界産業を専門とするアナリストです。連絡先:walt@custerconsulting.com